C-lab Seminar 2013 | Seminar | Nagoya University Cosmology Group (C-lab)

C-lab Seminar 2013

日本語

Seminars in April

Speaker
Naoshi Sugiyama

Date/Place
13:30-, 11(Thu), Apr. @ES606

Title
Policy speech

Abstract
Policy speech

Speaker
Takanori Suzuki

Date/Place
13:30-, 18(Thu), Apr. @ES606

Title
Big Bang 元素合成とそれによる宇宙論的パラメータの予想

Abstract
ビッグバン直後の宇宙では陽子 p と中性子 n は平衡状態であった。 宇宙の温度が下がるに従い陽子と中性子は平衡状態から外れ、重水素 2H が生成され、それを経由して軽元素 (3H, 3He, 4He, 6Li, 7Li, 7Be) が合成された。この反応を BBN (Big Bang Nucleosynthesis) と呼ぶ。
本論文ではまず BBN の理論の解説を行う。次に original の code を作成し、数値計算による軽元素の abundance の理論値を計算し、温度に対する abundance の発展を見る。また元素の abundance は ωb や Neff などの宇宙論的、素粒子的パラメータに依存するため、それらのパラメータに対する元素の abundance の変化と現在の観測値の比較から、それら宇宙論的、素粒子論的パラメータに対する予想を与える。

Speaker
Hanako Hoshino

Date/Place
13:30-, 18(Thu), Apr. @ES606

Title
単分子デバイスにおける電子状態と量子輸送特性

Abstract
現在コンピュータなどに使われている半導体ベースの固体マイクロエレクトロニクスでは微小化・集積化が進んでいる。トランジスタ、ダイオード、導線など、今のエレクトロニクスと同じような機能を分子を用いて実現しようとするものを分子エレクトロニクスという。
本研究は単分子デバイスとしてベンゼン、ナフタレン、アントラセンの3種類の分子を電極間に固定したものを考え、その電子物性をランダウアーの理論を用いて調べることを目的に行った。ランダウアーのモデルは試料の両端に電池の代わりに電子だめを導入し、試料が2本のリード線によって電子だめにつながれているとするものである。電子だめの電気化学ポテンシャルの差が電流を駆動する。
本研究では3つの有機分子を構成する水素原子は無視し、炭素原子のみを量子ドットとして扱った。ドット間の結合の強さとドットとリード線の結合の強さの比を変えながら、絶対零度での系のコンダクタンスとドットのエネルギーとの関係を数値計算により調べた。その結果、リード線とドットの結合を弱くするほど分子が孤立した状態に近づき、コンダクタンスが最大値をとるときのドットのエネルギーが分子のエネルギー準位に近づいていく様子が確かめられた。リード線とドットの結合が強いとエネルギー準位の構造は見られなかった。2重に縮退した2つのエネルギー準位において、コンダクタンスは2倍にはならずピークの幅が2倍になっていた。

Speaker
Koichiro Horiguchi

Date/Place
13:30-, 18(Thu), Apr. @ES606

Title
有限個のスカラー場の宇宙論的スケールにおけるシミュレーションと放出される重力波

Abstract
宇宙初期におけるインフレーションの一般的な証拠として scale invariant な重力波があげられる。 これはインフレーションが空間の歪みを引き延ばして起きたものであるが、この過程以外にも scale invariant な重力波が生み出される場合がある。それが相転移後の N 個のスカラー場が Non Linear Sigma Model(NLSM) に従う場合の宇宙論的スケールでの dynamics である。上記二つの重力波を区 別するためには、NLSM に従う場合のスカラー場の dynamics を解く必要がある。ここで、NLSM は 場の数が十分大きいときにその場の振る舞いを記述できるモデルである。場の数が十分大きい場合に ついては、場の解析的振る舞いが既に計算され、それに伴って放出される scale invariant 重力波が示 されている (Fenu+(2009))。これに対して、場の数が有限のときに場はどのような振る舞いをするの か、シミュレーションを用いて計算し、NLSM に従う場合と比較した。また場の数が有限個のときに 放出される重力波を NLSM に従う場合に放出される重力波への補正という形でもとめた。

Speaker
Mikito Yamamoto

Date/Place
13:30-, 18(Thu), Apr. @ES606

Title
Evolution of the 21cm line at Dark Age and Reionization

Abstract
高赤方偏移宇宙の観測は近年、目覚ましい速度で進歩しており、これからの観測の開拓地はz=6〜1000の時代であるとされている。そのような時代では光源となる天体が非常に少なく、通常観測が及びにくい領域である。高赤方偏移宇宙の探索にもちいられる手法の一つに21cm線がある。21cm線は中性水素の超微細構造間遷移(禁制遷移)に由来し、膨大な量の水素がある宇宙の晴れ上がりから暗黒時代、そして再電離を見ることができる手段として近年非常に注目を集めているトピックである。
本研究では、暗黒時代の終了から再電離にかけての加熱、再電離光源天体の特性が、21cm線の進化にどのような影響を及ぼすのか確かめた。その結果、光源天体の特性が21cm線の進化に大きく影響し、加熱、再電離の開始時期に影響することがわかった。そのため、将来的には21cm線の観測結果から、電離光源の特性がわかることが期待される。
今回、21cm線進化の計算に21cmFASTを用いた。21cmFASTは宇宙初期の密度ゆらぎを生成し、それを数値的に進化させ、21cm線の進化を追うプログラムである。本稿では21cmFASTでの計算手法について述べた後に、計算の結果得られた、21cm線進化に関するグラフを記している。

Speaker
Takahiko Matsubara

Date/Place
13:30-, 25(Thu), Apr. @ES606

Title
統合摂動論とその応用

Abstract
統合摂動論(integrated Perturbation Theory; iPT)は大規模構造のパワースペクトルや相関関数、さらに高次の統計量などを、非線形摂動論に基づいて求める一般的な方法で、とくにバイアス、赤方偏移変形、初期非ガウス性の効果を、第一原理から含められる唯一の摂動理論である。
理論の基本的な枠組みをレビューした後、最近行った応用について紹介する。

Seminars in May

Speaker
Chiaki Hikage

Date/Place
13:30-, 2(Thu), May. @ES606

Title
Impacts of satellite galaxies in measuring the redshift-space distortions

Abstract
大スケールでの銀河の速度場によって、銀河の空間分布が視線方向につぶれて見れる効果は、宇宙大構造の成長率(growth rate)の指標であり、重力モデルのテストに使われる。しかし、ハロー内でのサテライト銀河の運動によるFinger-of-God(FoG)効果によって、銀河分布は逆に視線方向に引き伸ばされるため、growth rateの測定を困難にする。SDSS DR7のLRGサンプルを使ってパワースペクトルの非等方成分を測ったところ、サテライト銀河のFoG効果の影響によって、growth rateの測定結果がバイアスされることがわかった。また、FoG効果によって生じる8重極以上の非等方成分を初めて検出した。高次の非等方成分は、サテライト銀河の割合や速度分散を測る良い指標となり、FoGの影響の補正に使える可能性があることが分かったので、その結果を報告する。

Speaker
Yoshihiko Oyama (KEK)

Date/Place
13:30-, 9(Thu), May. @ES606

Title
21cm線放射の観測によるニュートリノ質量階層構造の制限

Abstract
スーパーカミオカンデによるニュートリノ振動の発見により,ニュートリノは質量を持つ素粒子であるということが確認された.しかしニュートリノ振動の実験では質量の大きさは分からず,3世代あるニュートリノ質量の2乗差しか測定できない.一方、宇宙マイクロ波背景放射や銀河の大規模構造の観測による,密度揺らぎの測定を利用することで,質量2乗差だけでなくニュートリノ質量の和に対しても制限を与えることができる.
このような宇宙論的な観測から宇宙論パラメータに制限を与える方法として,近年新たに注目されているのが,21cm線と呼ばれる中性水素起源の電波の観測である.この21cm線の観測を用いれば,宇宙の暗黒時代やその後に続く中性水素が電離していく時期(宇宙再電離期)のような,赤方偏移が大きな時代を観測することが可能である.
本セミナーでは,再電離の時期における21cm線放射線についての概要と,ニュートリノの質量階層構造,及びニュートリノ世代数が,将来の21cm線観測によって,どの程度制限できるかについて,我々が行った解析の結果を話したいと思う.また時間が許せば,我々が最近行った,インフレーションモデルを区別するうえで,21cm線観測による初期密度ゆらぎの測定が,どの程度有効かどうかについての解析結果についても触れたいと思う.

Speaker
Toyokazu Sekiguchi

Date/Place
13:30-, 16(Thu), May. @ES606

Title
Anisotropy in CMB distortions from primordial magnetic fields

Abstract
宇宙マイクロ波背景放射(CMB)は非常に高い精度でPlanck分布に従っている事が知られており、これは光子が宇宙初期において熱平行に合った事を示している。一方で、光子が熱平衡から外れた後に、宇宙のプラズマにエネルギーを注入するような過程がある場合、CMBのスペクトルはプランク分布から歪みを受ける。我々はそのような過程の1つとして、宇宙初期の磁場がプラズマ中で受けるエネルギー散逸に着目した。プラズマと光子との不完全なcouplingにより、磁場の揺らぎはプラズマ中を伝搬していく中で散逸していく。このとき散逸したエネルギーはプラズマを加熱し、CMB光子の分布に歪みを生じる。初期磁場は空間的に揺らいでいるため、観測されるスペクトル歪みは非等方性をもつことになる。歪みの非等方性のパワースペクトルを求めるとともに、将来観測による観測可能性について議論する。

Speaker
Kenji Kadota

Date/Place
14:00-, 23(Thu), May. @ES606

Title
Cosmological constraints on the neutrino mass hierarchy

Speaker
Kiyotomo Ichiki

Date/Place
13:30-, 30(Thu), May. @ES606

Title
初期宇宙磁場と21cm線観測

Abstract
初期宇宙に磁場が存在すると、宇宙の熱史に様々な影響を及ぼす。 特に、宇宙背景輻射温度揺らぎにその痕跡を残すことから、最近のPlanckの結果からおよそnG程度の上限が得られている。
ここでは、晴れ上がりの後、宇宙が中性になった後の磁場の影響を考察する。 磁場と結合した弱電離ガスと中性粒子との摩擦により、磁場はガスを 加熱するため、標準的な温度進化と異なることが予想される。 このガスの加熱が将来観測が期待されている21cm線の揺らぎに及ぼす影響を調べたので報告する。

Seminars in June

Speaker
Takahiro Inagaki

Date/Place
13:30-, 20(Thu), June. @ES606

Title
The formation process of Brightest Cluster Galaxies

Abstract
Brightest Cluster Galaxies(BCGs) は銀河団の中で最も明るく、質量が大きい銀河である。また、クラスターの中心に位置し、その形成過程とも深く関わっていると考えられている。さらに、BCGsは他の銀河とは異なった質量ー半径の関係を持っており、非常に特殊な銀河に分類されている。しかしながら、その形成過程は完全に理解されているとは言いがたい。そこで本発表では、このBCGsの形成過程を星を含めた宇宙論的シミュレーションを用いて解明しようとしている。さらに、preliminaryではあるが、SDSSのDR9と2013年に公開されたPlanckのSz-catalogueとを組み合わせ、観測的にBCGsの形成過程を探る手法を紹介する。

Speaker
Shohei Aoyama

Date/Place
13:30-, 27(Thu), June. @ES606

Title
全地球測位システムと月レーザー測距実験を用いた低周波の重力波の振幅の制限について

Abstract
重力波は一般相対性理論がその予言を直接予言している波動である。重力波のうち低周波成分を検出し分析することはコンパクトかつ重たい天体の合体過程や数あるインフレーション理論や多くの宇宙論を検証するのに極めて重要な意味を持っている。特に0.01Hz~1Hzの重力波は中質量ブラックホール(intermediate mass black hole/IMBH)の合体時に生じることが期待されている。しかし、0.01Hz~1Hzの周波数領域は地上実験では地面振動により観測することが出来ない領域である。また月の公転周期の半分$10^{-6.5}$Hzの領域ではインレーション起源の重力波が存在しているものと考えられている。
全地球測位システム(GPS)を構成する人工衛星(GPS衛星)には原子時計が搭載されていて、GPSから発信される電磁波はこの原子時計と同期して非常に安定で正確な電波を発信している。重力波には垂直して進行する電磁波を変調する性質がある。現在までのGPSの運用においてそのような変調が見つからないことから、振動数が1Hz前後の重力波の振幅に制限の与えた。
また、月レーザー測距実験(LLR)では地上とアポロ計画で設置せれた月面にある鏡の距離を数ミリメータの精度で測定し、一般相対論から計算した理論値とLLRの観測値とのずれは0.5cm前後しかないことを示した。一方で、重力波は相異2物体に加速度を与える。とくに月の公転周期の半分13dayと重力波の周期が一致した場合は重力波によって月の軌道には共振が起こる。この共振の基づく軌道のずれがanomaly以下であるという条件から私は$10^{-6.5}$Hzの重力波の振幅に制限を与えた。
今回は関連研究も含めて発表しようと思う。

Seminars in July

Speaker
Shinsuke Asaba

Date/Place
13:30-, 4(Thu), July. @ES606

Title
Principal Component Analysis of Modified Gravity using Weak Lensing and Peculiar Velocity Measurements

Abstract
超新星の観測から現在宇宙は加速膨張していることがわかっている。加速膨張を説明する理論として、暗黒エネルギーと修正重力理論がある。それぞれの理論で銀河分布の成長と重力レンズ効果に違いがでるため、大規模な銀河の観測によって理論を選別し制限することができる。実際、加速膨張を説明する理論を決定することを目的とした大規模な銀河の撮像・分光観測が、世界中で計画・進行中である。私は将来観測から修正重力理論を特徴づけるパラメーターをどの程度制限することができるかについて研究を行ってきた。本研究では、修正重力理論のモデルを仮定せず主成分分析を行い観測的に制限しやすいモードを求めるという手法を用いた。この方法で求めたモードを実際の観測結果を用いて制限することで、観測から得られる情報を失うことなく効率的に加速膨張を説明する理論の性質を決定することができる。本セミナーでは、修正重力理論の制限において分光観測から得られる銀河の固有速度の情報の有用性を示した結果について発表する。

Speaker
Daichi Kashino

Date/Place
13:30-, 4(Thu), July. @ES606

Title
Subaru/FMOS survey of star-forming galaxies at z~1.6 in COSMOS (F-COSMOS): Halpha-based SFR and dust extinction

Abstract
すばる望遠鏡 FMOS を用いて行った、z~1.6 における星形成 銀河の近赤外線分光サーベイの成果を発表する。我々の目的は、Hα 輝線に基 づいた星形成率 (SFR) と星質量 (M∗) の関係を定量化することである。星形成銀河については、この 2 つの物理量の間にタイトな関係があることが多く の先行研究により確認されており、星形成主系列と呼ばれている。しか し、用いる星形成率指標やサンプルセレクションにより微妙に異なった結果が得られており、本質的な星形成主系列を明らかにするためにも、指標の影 響や互いの関係を明らかにするためにも、異なる指標やサンプルで SF R–M∗ 関係を定量化し、それらを比べることが重要である。さらに、赤方偏移とともに星形成主系列がどのように進化するのかを明らかにすることは銀河の形 成と進化の解明においてとても重要なことである。しかし、星形成史のピー クである z ∼ 1.6 という時代に対しては、よく理解され精度の良い星形成率 の指標であるHα 輝線が分光観測が困難な近赤外領域にシフトしてしまい、 これまでは不定性の大きな指標を使わざるを得なかった。しかし、FMOS の 本格稼働により、Hα に基づく星形成率の見積もりが可能になった。我々は、約200のスペクトルから先行研究とコンシステントな SFR–M∗ 関係を求めた。

Speaker
Chiho Kubota

Date/Place
13:30-, 11(Thu), July. @ES606

Title
ハローの非球対称性

Abstract
銀河団の質量を精密に求めることは宇宙論において非常に重要である。一般的に銀河団の質量を測定するのに、球対称性を仮定して質量プロファイルをフィットする方法が用いられている。しかし、実際に銀河団は球対称であるとは限らないため、球対称を仮定した場合の質量推定に不定性が生じる可能性がある。今回、N体シミュレーションを用いて、FOFでハローカタログを作り、各ハローの楕円率を求めた。その結果、ハローは球対称ではなく楕円率には非常に大きなばらつきがあった。平均の楕円率[中軸/長軸]=0.6,[短軸/長軸]=0.46であり、楕円率のばらつきには質量依存性はみられなかった。

Speaker
Shouhei Saga

Date/Place
13:30-, 11(Thu), July. @ES606

Title
高次の効果による磁場生成

Abstract
宇宙の多様なスケールにわたって存在する磁場の起源の候補は未だ存在しない。現在考えられているいくつもの理論は、いずれも標準宇宙論の枠組みを拡張する必要がある。一方で、標準宇宙論を2次摂動まで考えることで磁場が自然と作られることが示されておりこれは一つの有力な候補となりうる。しかし、2次の摂動論のもとでの磁場の評価は完全に行われていない。それは2次までのBoltzmann方程式とEinstein方程式を定式化し解く必要があるからである。今回、私は2次の摂動論の再定式化を行った。そのもとで、tight coupling近似(TCA)の解を2次まで求めた。宇宙論的摂動論2次のもとでのTCA2次では線形摂動とは大きく異なる結果となることが分かったため本発表ではこれを報告する。

Speaker
Yuki Shibusawa

Date/Place
13:30-, 18(Thu), July. @ES606

Title
初期磁場による構造形成モデル

Abstract
宇宙空間には地球や太陽から銀河、銀河団などの様々なスケールにおいて磁場が存在している。磁場は宇宙の構造形成において大きな影響を及ぼし ていると考えられるが、その詳細は未だ十分な理解がなされていない。本研究では球対称崩壊モデルにローレンツ力を取り入れ、宇宙論的な磁場を 含めた構造形成モデルを構築した。さらに先行研究[Tashiro & Sugiyama (2011), 0908.0113]に基づいて、初期磁場による構造形成について計算を行った。このモデルから求められる臨界過密度とパワースペクトルを用いて、 Press-Schechter質量関数を計算した。その結果、初期磁場による構造形成モデルでは一般的な重力のみによる構造形成モデルより も臨界過密度が増大し、質量関数において大スケール側での構造形成を抑制することがわかった。

Seminars in August

Seminars in September

Seminars in October

Speaker
Yoshitaka Takeuchi

Date/Place
13:30-, 3(Thu), Oct. @ES606

Title
Constraints on isocurvature modes with 21cm emission from mini-haloes at high-redshifts

Abstract
中性水素原子の超微細構造に起因するスペクトル線は21cm線と呼ばれ、宇宙の観測においては様々な場面で用いられている。銀河間物質に含まれる中性水素は背景21cm線に最も大きな寄与を与える。一方で、星形成が活発に行われずに銀河になり損ねた低質量のハローが多数存在していると考えられ、高赤方偏位のこのような低質量ハローには中性水素も密に存在しているはずであり、21cm線の揺らぎにも大きく寄与することが期待されている。
ここでは、低質量ハローを起源とした21cm線の揺らぎ対するエントロピー揺らぎの影響を考察する。CMBによる観測とは異なり21cm線の観測では揺らぎの発展を追うことでエントロピー揺らぎのダークマターとバリオン成分を区別することができると予想されている。これを踏まえ、低質量ハローからの21cm線の揺らぎの観測を用いて将来観測からどのような制限が期待されるかを調べたので報告する。

Speaker
Kevin Bundy (Kavli IPMU, U. Tokyo)

Date/Place
15:30-, 15(Tue), Oct. @ES606

Title
MaNGA: Mapping Nearby Galaxies at APO -- An IFU Survey of 10,000 Galaxies

Abstract
I will discuss the design, ongoing construction, and soon-to-begin execution of a new survey to obtain resolved spectroscopy for 10,000 nearby galaxies called MaNGA (Mapping Nearby Galaxies at Apache Point Observatory). MaNGA is one of three programs that make up the 6-year SDSS-IV project, beginning in August 2014. MaNGA will deploy 17 fiber-bundle IFUs across the Sloan 2.5m Telescope's 3 degree field-of-view, targeting a mass-selected sample with a median redshift of 0.03, typical spatial resolution of 1 kpc, and a per-fiber signal-to-noise ratio of 5-10 in the outskirts of target galaxies. For each galaxy in the sample, MaNGA will provide maps and measured gradients of the age and chemistry of stellar populations, the gas-phase metallicity and star formation rates, as well as the velocity fields of both stars and gas. This unprecedented, rich data set will shed new light on the early formation history, ongoing growth, and eventual "death" via star-formation quenching of nearby galaxies.

Speaker
Claire Lackner (Kavli IPMU, U. Tokyo)

Date/Place
16:15-, 16(Wed), Oct. @ES606

Title
Bulges and Disks: How galaxy components change with environment

Abstract
Galaxy environment is one of the main drivers of galaxy formation, shaping galaxy formation histories, merger histories, present-day star formation rates, and galaxy morphology. In this talk, I will discuss the impact of local environment on galaxy bulges and disks, separately. I will present suite of bulge-disk decompositions for a sample of 30,000 z~0 galaxies from SDSS. Selecting only galaxies with both a bulge and disk, I find that the properties of bulges are independent of environment at fixed stellar mass. However, the disks around these bulges become redder, and, in the densest environments slightly smaller at fixed bulge stellar mass. Similarly, the HI gas mass anti-correlates with environment. This suggests environment is connected with star formation quenching, but that the quenching mechanism does not affect morphology of bulge+disk galaxies.

Speaker
Daisuke Nitta

Date/Place
13:30-, 17(Thu), Oct. @ES606

Title
Shadows of multi black hole: Analytic Exploration

Abstract
ブラックホールの直接観測はホライズン近傍の幾何が見えるため、重力理論の強力な検証手段となる。また、多体のブラックホールが見えれば、ブラックホールの形成史を解く大きなヒントを与えるだろう。前回の研究ではKaster-trashen解を用いて2つのブラックホールの衝突の様子をブラックホールの影としてどのように見えるかを議論したが、今回は理論的な面からブラックホールシャドウの形状について議論した。特に、接近しつつある二つのブラックホールは、お互いの重力によって光子の軌道が曲げられ、結果としてシャドウの位置や形が変わってしまうが、その変形具合から、二つのブラックホールの質量比や2体間の元の距離を見積もることができることが分かった。

Speaker
Atsushi Taruya

Date/Place
15:00-, 24(Thu), Oct. @ES606

Title
宇宙大規模構造の非線形性:to be, or not to be

Abstract
大規模銀河サーベイなどによる最近の宇宙大規模構造の観測では、パワースペクトル・相関関数の測定精度が大きく向上しており、観測精度の向上にあわせた理論予言の精度向上が求められている。理論予言には、大規模構造の重力進化や観測の系統的影響を適切に考慮する必要があり、線形理論を越えた取り扱いが不可欠である。セミナーでは、こうした話題についての現状を概観しつつ、我々が進めてきた摂動論にもとづく高精度計算手法を紹介する他、重力レンズ観測へ応用する際、摂動論の適用範囲を広げるユニークな方法論について紹介する。

Speaker
Kiyotomo Ichiki

Date/Place
13:30-, 31(Thu), Oct. @ES606

Title
A Test for Zero Mean Hypothesis in Cosmology

Abstract
One of the working hypotheses on which analyses of cosmological data is based is zero ensemble mean, which is related to the statistical homogeneity of cosmological perturbations. This hypothesis, however, should be tested by observation data themselves in this precision cosmology era. Here we test the hypothesis by analysing the recent, foreground reduced CMB maps, combining the spherical harmonic coefficients of the masked CMB temperature anisotropies in such a way that the combined variables can be treated as statistically independent samples.
We find evidence against zero mean hypothesis in two particular ranges of multipoles, with significance levels of $2.5 \sigma$ and $3.0 \sigma$ for $\ell \approx 60-80$ and $220-250$, respectively, for both the PLANCK and WMAP maps. The latter signal is consistent with our previous result found by using a brute-force Monte-Carlo simulations.

Seminars in November

Speaker
Takahiro Inagaki

Date/Place
13:30-, 7(Thu), Nov. @ES606

Title
The formation process of Brightest Cluster Galaxies II

Abstract
Brightest Cluster Galaxies (BCGs) は銀河団の中で最も明るく、質量が大きい銀河である。また、クラスターの中心に位置し、その形成過程とも深く関わっていると考えられている。さらに、BCGsは他の銀河とは異なった質量ー半径の関係を持っており、 非常に特殊な銀河に分類されている。しかしながら、その形成過程は完全に理解されているとは言いがたい。このBCGsの形成過程を星を含めた宇宙論的シミュレーションを 用いて解明しようとしている。また、Faber-Jackson Relationなどを見る事でその特性を理解することを試みる。さらに、SDSSのDR10とPlanckのSz-catalogueとを組み合わせ、観測的にBCGsの形成過程を探る手法を紹介する。

Speaker
Masamune Oguri (U. Tokyo)

Date/Place
13:20-, 14(Thu), Nov. @ES606

Title
銀河団および銀河内のダークマター分布

Abstract
銀河団や銀河内のダークマター分布は宇宙論の重要な構成要素でありダークマターの非線形領域のテストの観点からも重要である。歴史的にはその分布の観測の標準的な宇宙論の予言からのずれが度々指摘され論争になっていた。現在では重力レンズ研究の進展によりダークマター分布が直接詳細に観測されその平均的な描像が明らかになってきている。本セミナーではダークマター分布を強い重力レンズと弱い重力レンズ現象を駆使して測定した我々の結果を報告する。

Speaker
Shinsuke Asaba

Date/Place
13:20-, 21(Thu), Nov. @ES606

Title
Constraints on f(R) gravity

Abstract
宇宙の加速膨張を説明する理論として宇宙項を導入せずに一般相対論を拡張することで説明する修正重力理論がある。修正重力理論の代表的なものにアインシュタイン-ヒルベルト作用をリッチスカラーの任意の関数で与えるf(R) gravityがある。本セミナーでは、まず、f(R) gravityにおける背景宇宙と1次の摂動量の振る舞いについて紹介する。f(R) gravityでは密度揺らぎの成長と非等方ストレスがΛCDMモデルと違うため、宇宙大規模構造の観測から制限することができる。前回もとめた主成分を用いてf(R) gravityのパラメーターに対して制限をつけた結果を発表する。

Speaker
Shouhei Saga

Date/Place
14:30-, 21(Thu), Nov. @ES606

Title
2次摂動論による重力波生成

Abstract
インフレーション以外の宇宙論的な重力波の起源はいくつか提案されているが、多くの理論が仮定を必要とする。ところが、摂動論を2次まで考えた場合に重力波のソースとして1次の積による寄与が必然的に生じる。 これには何の仮定も含まれておらず、1次の摂動論が正しい限り同様に正しい。この寄与による重力波の見積もりは完全になされていない。これは、磁場の場合と同じく純粋な2次の項の取扱いが煩雑であるためである。重力波の場 合は、1次の積による寄与に加えて純粋な2次の非等方圧が重力波を作る。 今回、私は重力波の見積もりをこの純粋な2次の非等方圧も考慮して行った。その結果を発表する。

Speaker
Yuki Shibusawa

Date/Place
13:30-, 28(Thu), Nov. @ES606

Title
球対称崩壊モデルにおける磁場の影響

Abstract
宇宙には銀河や銀河団などの多様なスケールにおいて磁場が存在しているが、これらの起源や進化の詳細は未だに解明されていない。磁場は宇宙の 構造形成において大きな影響を与えると考えられており、宇宙初期に磁場が存在した場合2次的なバリオンの密度ゆらぎが生成され、そのバリオン の重力によってダークマターの密度ゆらぎが成長することが示されている。これらの密度ゆらぎを考慮した際の質量関数が[Tashiro H, Takahashi K & Ichiki K, 2010]で求められているが、この時の臨界過密度は重力のみによる構造形成での値delta_c=1.69を用いている。本研究ではこの初期磁場による 構造形成シナリオを球対称崩壊モデルで考え、delta_cの値を新たに見積もった。前回までの発表でこのシナリオの場合はdelta_cが上記の値よりも大きくなり、構造形成が抑制されることを示した。今回は今まで簡単化していたビリアル平衡に達する条件について、詳しく議論した結果を報告する。

Speaker
Daichi Kashino

Date/Place
13:30-, 28(Thu), Nov. @ES606

Title
FMOS-COSMOS survey: Ha-SFR, Dust extinction, Metallicity

Abstract
すばる望遠鏡 FMOS を用いて行った、z~1.6 における星形成 銀河の近赤外線分光サーベイの成果を発表する。近年、観測技術の向上もあり、遠方銀河の星形成率やダスト減光の性質についての研究が盛んである。そのような時代にあって我々のFMOSの観測も大きな成果を上げている。ダスト減光と星形成主系列(SFR-Mstar relation)については、前回の発表後にまとめた論文 (Kashino et al. ApJ, 777, L8) の最終的な結果を紹介する。また、我々はHalphaと[NII]6584の輝線強度比から銀河の金属量の評価を行った。金属量と銀河の星質量(Mstar)の関係を求めた結果、Mstar = 10^10 -- 10^11 Msun程度の銀河では、近傍宇宙の銀河と比較して金属量が非常に少ないことが明らかになった。これは、銀河がまだ成長を始めたばかりであることを示している。一方で、10^11 Msunを超える大質量銀河では、近傍宇宙の十分に成長した銀河と同程度に金属が豊富であることがわかった。これは、これらの銀河が現在から約100億年前の宇宙ですでに十分に成長しきっていたということを示唆しており、興味深い結果である。尚、金属量についての結果は Zahid, Kashino, Silverman et al. 2013 arXiv:1310.4950 (submitted to ApJ) にまとめられている。

Seminars in December

Speaker
Shun Saito (Kavli IPMU, U. Tokyo)

Date/Place
13:30-, 19(Thu), Dec. @ES606

Title
Precise measurement of cosmic expansion history and growth of the large-scale structure from the updated BOSS CMASS galaxy clustering

Abstract
Baryon Oscillation Spectroscopic Survey (BOSS)は、スローンデジタルスカイサーベイ第III期(2009-2014)の主要な宇宙論サーベイであり、約150万個の明るい銀河と約15万個のクエーサーの分光観測により、史上最大規模の宇宙3次元地図を提供し、大規模構造形成の精密測定を可能にしている。今回は、最新のデータ(DR11)におけるBOSSの主要銀河サンプルであるCMASS銀河カタログを用いた、最新の銀河クラスタリング解析の結果を発表する。特に今回は、非等方な銀河クラスタリングのパワースペクトル解析を用いた、z=0.57でのバリオン振動スケールと赤方偏移歪みの測定に注目して議論する。

Seminars in January

Speaker
Kohei Kumazaki

Date/Place
13:00-, 9(Thu), Jan. @ES606

Title
SAGE calibrationによる系外電波源除去

Abstract
超巨大電波干渉計の登場により、現代宇宙論最後のフロンティアのひとつであるEpoch of Reionization(EoR)からの21cm線観測に熱い視線が注がれている。21cm線観測における最たる障害は、21cm線のシグナルとくらべて数桁大きい前景放射であり、それらの極めて正確な除去が要求されている。今発表では、前景(とくに系外電波源)除去法のひとつであるSAGE calibrationを紹介し、実際のsky modelを用いて見積もった除去精度とそれに基づいたLOFAR EoR Groupの観測戦術を報告する。

Speaker
Takanori Suzuki

Date/Place
13:30-, 16(Thu), Jan. @ES606

Title
大規模構造による非等方性の制限

Abstract
宇宙の一様等方性は現代宇宙論における最も基礎的な仮定であり、さまざまな理論の重大な前提となっている。しかし、近年の観測によりCMBに統計的な非等方性が存在する可能性があることがわかってきた。また、非等方的な宇宙を生み出す理論も提案されている。本発表ではSDSSのデータを用いて、大規模構造の観測から統計的な非等方性に制限を与える方法を紹介する。

Speaker
Hanako Hoshino

Date/Place
13:30-, 16(Thu), Jan. @ES606

Title
Where do Luminous Red Galaxies live in dark matter halos?

Abstract
銀河団中心にはBCG (Brightest Cluster Galaxy) と呼ばれる明るく大きい銀河が一つ存在すると考えられている。本発表ではこのBCGと明るく赤い銀河LRG (Luminous Red Galaxy) の関係を見ていく。それにあたり銀河団カタログとして SDSS DR8 から作られた Redmapperカタログを用いた。このカタログは各銀河団においてBCG候補を5つ選び、それぞれにBCGである確率を割り当てている。まず銀河団に含まれるLRGの数の平均をハロー質量ごとにプロットしたHOD図を作ると、銀河団カタログがBCGとみなした銀河がはっきりしている(BCGである確率が高い)銀河団とそうでない銀河団で特徴に違いが現れた。銀河団内でBCGがはっきりしている方がBCG且つLRGである傾向が強く、また、BCGがはっきりしていない銀河団の方が中心以外に satellite LRG をもつ傾向が強いことが確かめられた。次に、BCGと同じ銀河団内で一番明るいLRGの性質を調べ、その違いについて議論する。

Speaker
Yin Li (Chicago University)

Date/Place
14:00-, (Fri.), Jan. @ES606

Title
Power Spectrum Super-Sample Covariance in Cosmological Simulations

Abstract
For a wide range of survey volumes, the sample variance that arises from modes that are larger than the survey dominates the covariance of power spectrum estimators for modes much smaller than the survey. Using separate universe simulations, we accurately quantify this super-sample covariance (SSC). By quantifying the power spectrum response to abackground mode, this approach automatically captures the separate effects of beat coupling in the quasilinear regime, halo sample variance in the nonlinear regime and a new dilation effect which changes scales in the power spectrum coherently across the survey volume, including the baryon acoustic oscillation scale. It models these effects at typically the few percent level or better with a handful of small volume simulations for any survey geometry compared with directly using many thousands of survey volumes in a suite of large volume simulations.

Speaker
Koichiro Horiguchi

Date/Place
9:30-, 21(Tue), Jan. @ES606

Title
NLSMに従うスカラー場から放出される重力波が角度パワースペクトルに与える影響

Abstract
一般的にインフレーションが起きた一つの証拠としてスケール不変な重力波が挙げられる。近年この重力波と同様のスペクトルが宇宙初期に相転移して真空に落ちたスカラー場のモデルであるNon-Linear Sigma Model (NLSM)から放出されることが分かってきた。(Fenu+ 2009) これらの重力波は現在では同じスペクトルに見えるが、時間発展は違うのでこれを反映するCMBを観測すれば違いが見える。これらのスペクトルの起源を区別するため重力波によるCMBの角度パワースペクトルを調べた。またその振る舞いについて議論する。

Speaker
Mikito Yamamoto

Date/Place
9:30-, 21(Tue), Jan. @ES606

Title
赤方偏移ゆがみによるSHAMの評価

Abstract
宇宙大規模構造形成と銀河進化の理解のために、ダークマターハローと銀河の関係性を考察することは極めて重要である。SubHalo Abundance Matching (SHAM)は、ダークマターハローと銀河の直接的な関係性を仮定し、パラメータなしにN体シミュレーションから銀河の疑似カタログを得る解析手法である。Masaki et al.(2013)は、Subhaloの年齢(Subhalo age model)と局所的な密度分布(Local density model)を取り入れたSHAMを行い、銀河の色ごとの相関を再現した。本研究では、Masaki et al.(2013)で得られたMock catalogが赤方偏移ゆがみを再現するかどうかを、Zehavi et al.(2011)で得られた観測結果との比較により確かめた。赤方偏移ゆがみは銀河の固有運動により、大規模構造の見た目の形が歪む現象である。比較の結果、どちらのモデルも数Mpc程度のスケールでは、観測される色依存性を再現しなかった。今回はその原因とSHAMの改善策についても考察する。

Speaker
Chiaki Hikage

Date/Place
13:30-, 30(Thu), Jan. @ES606

Title
銀河パワースペクトルの多重極成分を用いた宇宙論解析

Abstract
銀河パワースペクトルは宇宙論解析において最も標準的な統計量である。しかし、非線形な赤方偏移変形の影響が大スケールにまで及ぶため、精密な理論モデルの構築が困難である。銀河パワースペクトルのl=4以上の多重極成分は、銀河サンプル中に含まれるサテライト銀河の割合や運動学的性質を測る良い指標となり、赤方偏移変形の影響の補正に有用である。今回、これまであまり利用されていなかった銀河パワースペクトルの多重極成分を使うことで、ハロー占有分布(HOD)とともに構造成長率の決定精度が大きく向上する結果を紹介する。

Seminars in February

Speaker
Kenji Kadota

Date/Place
13:30-, 20(Thu), Feb. @ES606

Title
particle cosmological probes on light degrees of freedom

Abstract

Speaker
Shohei Aoyama

Date/Place
13:30-, 27(Thu), Feb. @ES606

Title
アクシオンの終末期の恒星の内部構造と観測量への影響

Abstract
現在、量子色力学(QCD)を含めた素粒子標準模型は地上の素粒子実験結果を非常にうまく説明することが知られている。しかしQCDは理論が持つ係数の微調整問題(fine tuning problem)の1つである強いCP問題を抱えている。アクシオンはRoberto D. PecceiとHelen R Quinnにより1977年に提唱された擬スカラー場で、アクシオンが存在すれば、このfine tuning problemが自動的に解決するため、その存在が示唆されている。アクシオンは相互作用定数$g_{a\gamma }$を制限することにより、その性質を探ろうという研究が進められている。
アクシオンは光子との相互作用することにより、恒星の内部では光子がアクシオンに変化する反応が起き、アクシオンが恒星を冷却するPrimakoff過程か存在し、アクシオンは恒星内部では未知の冷却源として機能する。アクシオンによる恒星の単位質量・単位時間あたり冷却率は恒星内部の温度に強く依存するため、ごく小さな$g_{a\gamma }$でも恒星の終末で起こるマグネシウムや鉄を生成する酸素燃焼過程やシリコン燃焼過程に大きな影響を与えると期待される。

Seminars in March

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