Cセミナー 2014 | セミナー | 名古屋大学 宇宙論研究室(C研)

Cセミナー 2014

English

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4月のセミナー

発表者
浦川 優子

日程/場所
4月3日(木)14:30-@ES606

題名
ホログラフィックインフレーションと観測的宇宙論への展望

概要
Maldacenaによって提案されたゲージ/重力対応は、摂動的には記述できない強い重力によって支配される物理系が、 双対な場の理論の摂動論によって記述できる可能性を示唆する。インフレーション初期には摂動的な重力の記述が破綻する可能性があるため、 ゲージ/重力対応に基づくインフレーションシナリオの理解が可能となれば、初期宇宙研究に関する新たな洞察を与える。 本講演では、インフレーション及びゲージ/重力対応の簡単な解説をした後、ゲージ/重力対応に基づきインフレーションモデルを構築し、 初期の強重力期の物理について考察する。特に、このモデルにおいて、宇宙背景輻射や構造形成のタネとなる曲率揺らぎの分布関数を解析し、その観測的整合性を議論する。

発表者
奥村 哲平 (Kavli IPMU, U. Tokyo)

日程/場所
4月10日(木)14:00-@ES606

題名
位相空間の分布関数を用いた銀河サーベイにおける赤方偏移変形効果の定式化

概要
銀河分光サーベイは宇宙の大規模構造を銀河分布を通して観測する三次元サーベイである。特に視線方向の距離は赤方偏移によって測られるため、銀河自身の固有速度によるドップラー効果によって実際の位置からずれて観測される。これは赤方偏移空間歪みと呼ばれ、この効果のために銀河サーベイは銀河の固有速度の情報を含んでおり、暗黒エネルギー探査に有効な観測手段であると考えられている。
しかし、銀河分布を特徴づける統計量、すなわちパワースペクトルや二点相関関数は、非線形重力クラスタリングや非線形速度分散、非線形銀河バイアスといった様々な非線形性の影響を受けることが知られている。宇宙論パラメータをパーセントレベルで制限するには、これらの非線形性をパーセントレベルで予言できる理論モデルが必要となる。本発表では、そのようなモデルの1つである、位相空間の分布関数を用いた方法を紹介する。分布関数法を用いて導出した赤方偏移空間パワースペクトルを、摂動論によって計算し、N体シミュレーションの結果の比較を行う。また、この分布関数法の応用として、運動学的スニャエフ・ゼルドヴィッチ効果の測定に用いられる、赤方偏移空間の速度統計量の定式化も行う。

発表者
杉山 直

日程/場所
4月17日(木)14:30-@ES606

題名
所信表明

概要
所信表明

発表者
田代 寛之

日程/場所
4月24日(木)13:30-@ES606

題名
Can 21 cm observations detect the first supernovae?

概要
The formation of first stars is an important milestone in the history of the structure formation. However, the direct detection of the first stars is still difficult even for decades to come. In this talk, I discuss the detectability of their supernova remnants in redshifted 21 cm lines. I calculate the ionization rate and gas temperature induced by X-rays from the supernova remnants and show the preliminary results of their 21 cm signatures.

5月のセミナー

発表者
小林 将人

日程/場所
5月1日(木)14:00-@ES606

題名
Weak lensing on small scale (signal from stars in galaxies)

概要
To understand the formation and evolution of galaxies, it is one of the attracting and essential topics to reveal the interplay between baryons and dark matter. To answer this question from an observational point of view, I analyze Hubble Space Telescope (HST) ACS data. In this talk, I would like to present several results from this analysis, which include estimations of on how smaller scale we can push weak lensing analysis and what S/N we could obtain that comes from not only dark matter but stellar mass in galaxies.

発表者
西澤 淳

日程/場所
5月8日(木)13:30-@ES606

題名
局所構造によるISW効果のスタック解析とCMB anomalyへの影響

概要
CMB光子は最終散乱を経て我々の間に届くまでに大規模構造の中を通り抜けてくるが、その大規模構造の重力ポテンシャルが時間的に変動すると、CMB光子に二次的な温度揺らぎを与える(積分ザックスヴォルフェ効果:ISW)。重力ポテンシャルの時間変動はダークエネルギー優勢宇宙で起こるため、ISWはダークエネルギーのユニークなプローブである一方で、CMBの揺らぎの大スケールで観測されている不調和(anomaly)を説明する可能性も秘めている。本解析では、近傍宇宙に存在する非線形な天体(超銀河団や超ボイドなどの100Mpc/hを超える巨大構造物)によるISWのシグナルをスタック法を用いて解析し、そのCMB anomalyへの影響を考察する。 また、時間があれば自身のこれまでの他の研究についても言及する予定である。

発表者
松本 路朗

日程/場所
5月15日(木)13:30-@ES606

題名
修正重力理論における物質の密度揺らぎの発展について

概要
現在の宇宙の加速膨張を説明するものとしては宇宙項Λの存在を仮定する方法が標準的だが、その他には動的なスカラー場を導入する方法、重力理論を修正する方法などがある。ここでは修正重力理論の一つである、F(R)重力理論に焦点を当てて議論を行う。F(R)重力理論の模型としては、例えばスタロビンスキーモデルと呼ばれるものがある。F(R)重力理論では、一般に、その摂動的性質は宇宙項Λのものと異なる。そのため、物質の密度揺らぎの発展を調べることでこの模型の特徴をとらえられる可能性があり、宇宙項Λと比べて優位な点があるかどうかを議論したいと思う。

発表者
新田 大輔

日程/場所
5月22日(木)13:30-@ES606

題名
ブラックホール直接観測による、非最小結合したアインシュタイン-マックスウェル理論の検証

概要
高次元の重力理論には、4次元にコンパクト化することでリーマンテンソルと電磁場の非最小結合が自然に現れる場合がある。このような理論では光子の運動に関して等価原理が破れており、通常のアインシュタインの重力理論とは異なって軌道の偏光依存性(復屈折)や偏光自体の変化が起こる。特に、適当な背景光のもとで将来ブラックホールの影が直接観測されるなら、その周りに偏光が生じているのが見える可能性もある。本研究ではシュバルツシルトブラックホールを背景として、重力場と非最小結合をする光子の運動を考え、どれほどの偏光が生じるかを計算した。また理論のパラメータが将来のブラックホール直接観測によってどれほど制限できるかを調べた。今回の発表でこれらの研究の成果を報告する。

発表者
浅羽 信介

日程/場所
5月29日(木)13:30-@ES606

題名
スクリーニング機構を用いた修正重力理論の制限方法の考察

概要
宇宙の加速膨張を説明する理論の候補の1つとして、一般相対性理論を宇宙論スケールで拡張した修正重力理論がある。修正重力理論の線形理論では小スケールで重力が増幅するため、太陽系での実験を説明することができない。しかし、これは太陽系のような高密度領域では線形理論が成り立たないためであり、非線形効果を考えることにより太陽系実験を説明することができる。この高密度な小スケールで修正重力理論の効果が消える機構をスクリーニング機構と言う。スクリーニング機構は修正重力理論のモデルパラメーターに依存するため、太陽系内で一般相対性理論が回復するという条件により制限を付けることができる。また、スクリーニング機構を用いた修正重力理論の制限について様々な研究がなされている。 本発表では、スクリーニング機構についてレビューをした後、矮小銀河を使った修正重力理論の制限方法についての論文を紹介する。そして、ダークマターハローの速度分散の非等方性を使った修正重力理論の制限の可能性について報告する。

6月のセミナー

発表者
堀口 晃一郎

日程/場所
6月12日(木)13:30-@ES606

題名
テクスチャーに起因する初期磁場

概要
近年銀河間などの大規模スケールで磁場が観測されている。この起源は未だに 明らかになっていないが、これを説明する一つの有力な説として初期磁場 があげられる。宇宙は過去、四つの力の分離など様々な相転移を経験してきたと考えられている。 これに加え、素粒子の標準理論の自然な拡張で得られる大統一理論から様々な スカラー場が示唆されており、これらのスカラー場の大半が相転移を起こしたと 考えられている。相転移を起こしたスカラー場の数によって対称性を回復する 領域が現れる。これを位相欠陥とよぶ。本発表ではスカラー場が四つ以上存在するときの位相欠陥であるテクスチャー による初期磁場生成を議論する。磁場のスペクトルの波数依存性を解析したので その結果についても言及する。

発表者
星野 華子

日程/場所
6月12日(木)14:45-@ES606

題名
Luminous Red Galaxy population in clusters at 0.16

概要
力学平衡に達した銀河団の中心には明るく大きい銀河が存在し、多くの先行研究では、LRGのような古い銀河は銀河団の中心にあると考えられてきた。本研究ではこの仮定の正当性を確かめるため、SDSS DR8 から作られたredMaPPer銀河団カタログを用いて、銀河団中心にあるセントラル銀河とLRGの関係を調べた。ひとつ以上のLRGをもつ銀河団を解析した結果、セントラル銀河がLRGであるのは全ての銀河団のうち86%であり、また、セントラル銀河が銀河団内で最も明るい銀河であるのは全ての銀河団のうち71%であった。 また、LRGのHODを測定し、銀河団内のLRGの分布を調べた。その結果、重い銀河団ほどLRGの数が増加するにも関わらず、セントラル銀河が必ずしもLRGでないことが分かった。

発表者
小林 将人

日程/場所
6月19日(木)13:30-@ES606

題名
Revisit "Weak lensing on small scale (signal from stars in galaxies)"

概要
In the talk on May 1st, I addressed my expectations that future surveys supply large enough statistics for weak lensing analysis that we directly measure stellar mass of galaxies (albeit on average). In this talk, I would like to reinforce those expectations by answering some questions and feedback that I obtained at the time of previous talk. In addition, I would like to mention the current status of my ground based data analysis.

発表者
出口 真輔 (熊本大学)

日程/場所
6月26日(木)13:30-@ES606

題名
SKAを用いた宇宙磁場研究

概要
2018年に建設が予定されているSKAや、その中継機であるASKAP、LOFARなどの超巨大電波干渉計による広帯域の偏波観測では、ファラデートモグラフィーと呼ばれる新技術が実用化され、偏波スペクトルからファラデー分散関数(Faraday dispersion function, FDF)という視線方向の磁場と偏波の分布関数が得られるようになる。この技術により、宇宙磁場研究は飛躍的に進展することが期待される。我々はこの技術を使った大規模構造フィラメントの銀河間磁場の検出を目指しており、その準備研究を行っている。

7月のセミナー

発表者
嵯峨 承平

日程/場所
7月3日(木)13:00-@ES606

題名
Bモード観測から得られるベクトルモードの制限

概要
BICEP2がCMB Bモード偏光が観測されたと報告した。 Bモードは通常インフレーション中に作られたテンソルモードの証拠である と一般的には考えられるが、ベクトルモードもBモード偏光の種になること が知られている。 特殊な初期条件のもとでベクトルモードは存在することが可能である。 そのベクトルモードもテンソルモードと同様に初期パワースペクトルで基本 的には特徴付けられ、スペクトルのベキとその振幅で決定される。 どちらの摂動から作られたBモードが観測されたBモードをよく説明できる かを、MCMCを用いて解析を行った。その結果を発表する。 また2次摂動論の進捗について、・2次摂動量の遷移関数についていくつか面白いことが分かった・2次ベクトル計量の発展を追うことが可能となった ため、2次磁場の現状をその定式化もふまえて、(ややテクニカルな話になってしまうが)紹介したい。

発表者
島袋 隼士

日程/場所
7月10日(木)13:00-@ES606

題名
21cm bispectrumを用いた再電離期の探査

概要
recombination後、中性状態を保っていた水素は、z~15で初期天体や銀河からのUV光によって、再び電離すると考えられている。この時期のことを再電離期と呼び、観測によると、z~7まで続くと予想されている。 再電離期を探る手段として、中性水素の微細構造由来の21cm線があり、そのbrightness temperatureが観測量として期待されている。これまでは、brightness temperatureの揺らぎを探る手法として、そのpower spectrumが一般的に用いられてきた。 しかし、21cm線の物理にはガウス分布に従う宇宙論的な揺らぎだけではなく、天体物理由来の非ガウス性な揺らぎも関係してくるので、より高次の統計量にも着目する必要がある。そこで我々は、21cm bispectrumに注目し、実際に計算を行い、power spectrumとの比較を行ったので、その結果について現在、分かったことを発表する。

8月のセミナー

発表者
山本 幹人

日程/場所
8月28日(木)13:30-@ES606

題名
赤方偏移変形の色依存性から探る銀河とサブハローの対応関係

概要
現在、銀河観測から宇宙の大規模構造の詳細を調べることにより精密な宇宙論解析が可能である。しかし、ダークマター分布と銀河分布の間の不定性が大きな課題であり、ダークマターハローと銀河の関係性を明らかにすることが極めて重要である。そこで、Subhalo Abundance Matching (SHAM)を用いて、ハローの内部構造であるサブハローの性質と銀河の明るさや色などとの関係性が調べられている。Masaki et al. (2013)は、サブハローの年齢と局所的な密度分布を取り入れたSHAMを行い、銀河の色ごとの角度相関を再現した。
本研究では、先行研究 (Masaki et al. 2013)のSHAMを拡張し、赤方偏移変形の色依存性を再現できるか調べた。赤方偏移変形は、銀河の固有運動により赤方偏移空間での銀河分布が非等方に変形する現象である。SDSSの銀河データを用いた研究 (Zehavi et al. 2005)によると赤い銀河の方が青い銀河に比べて、Mpcスケールで視線方向に引き延ばされるFinger-of-God 効果が強いとされている。
今回はSHAMによって色分けした銀河の疑似カタログをSDSS DR7の色分けされた銀河カタログ (Zehavi et al. 2011)の観測結果と比較した結果、サブハローの形成時期を基準に色分けしたカタログが観測されている赤方偏移変形を良く再現することが分かった。一方、密度分布をもとにしたカタログでは観測結果を再現するために0.3程度のscatterが必要であった。

9月のセミナー

発表者
太田 敦久 (東工大)

日程/場所
9月25日(木)13:00-@ES606

題名
CMB μ distortion from primordial gravitational waves (arXiv:1406.0451

概要
We propose a new mechanism of generating the $\mu$ distortion in cosmic microwave background (CMB) originated from primordial gravitational waves. Such μ distortion is generated by the damping of the temperature anisotropies through the Thomson scattering, even on scales larger than that of Silk damping. This mechanism is in sharp contrast with that from the primordial curvature (scalar) perturbations, in which the temperature anisotropies mainly decay by Silk damping effects. We estimate the size of the μ distortion from the new mechanism, which can be used to constrain the amplitude of primordial gravitational waves on smaller scales independently from the CMB anisotropies, giving more wide-range constraint on their spectral index by combining the amplitude from the CMB anisotropies.

10月のセミナー

発表者
藤田 智弘 (東大 Kavli IPMU)

日程/場所
10月2日(木)13:00-@ES606

題名
インフレーションでの種磁場生成とその後の増幅機構

概要
2010年にボイド空間(銀河間空間)に存在する磁場が発見されてから、初期宇宙における磁場生成機構が活発に研究されてきた。しかし最近になって、インフレーション期における磁場生成だけでは観測されたボイド磁場を説明することは難しいことが明らかになった。今年に入ってからは、インフレーションでの磁場生成に加えて、インフレーション後の磁場増幅を組み合わせるようなシナリオが複数提案されてきている。しかし実際にどの程度の増幅が可能なのかはハッキリと分かっていない。このセミナーでは、これまで提案されてきたモデルと制限をレビューしてから、増幅機構と組み合わせるシナリオを議論する。

発表者
青山 尚平

日程/場所
10月9日(木)13:00-@ES606

題名
有限の質量に崩壊する暗黒物質の宇宙論的観測量に与える影響と暗黒物質の寿命の評価

概要
冷たい暗黒物質CDM はその大部分は、未知の素粒子で構成されている可能性が高いと考えられている。そしてCDM と宇宙を加速膨張させる宇宙項Λ を含んだ宇宙論模型であるΛ-CDM 模型は宇宙マイクロ波背景放射(CMB)の温度ゆらぎ、宇宙の大規模構造形成や弱い重力レンズ効果を非常にうまく説明できる。しかし、暗黒物質粒子は直接観測には成功しておらず、その性質にも未知の部分が多い。私達は暗黒物質の持ちうる性質の1 つである崩壊現象に注目した。先行研究により暗黒物質粒子が2 つとも質量0 の崩壊する場合は密度ゆらぎが消えることが知られているが、有限の質量の粒子に崩壊する場合は崩壊の寿命と娘粒子の質量に依存する構造形成になると予想される。過去の研究において、私達は暗黒物質(親粒子) が2 つの有限の質量を持つ他の粒子(娘粒子) に崩壊する暗黒物質模型を考え、その暗黒物質の崩壊現象がCMBの温度ゆらぎやCMBのlensing potential、密度ゆらぎの振幅の標準偏差σ8などの観測値に与える影響を計算した。これらの計算とWMAP7, Planck(2013)で公開された観測結果を比較した結果、DDMのCMBの温度ゆらぎのパワースペクトルに与える影響は充分に小さいことが明らかになった。この結果を用いてマルコフ連鎖モンテカルロを用いてDDMを含めたcosmological parameterの推定を行った。本発表では一連の研究成果を発表する。

発表者
熊崎 亘平

日程/場所
10月23日(木)10:00-@ES606

題名
Faraday Tomogrpahyによる宇宙磁場探査

概要
現在までに、宇宙の様々なスケールの構造が固有の磁場を持っていることが知られている。しかし、宇宙全体に付随する固有の磁場の存在については、存在の有無も含めて未だ確定的な観測的示唆が得られておらず、理解が進んでいない。 宇宙に漂う磁場の存在は、宇宙大規模構造形成過程に大きな影響をあたえるだけではなく、銀河・銀河団磁場などの起源の理解にもつながるため、現代宇宙論の最重要命題として注目されている。 今発表では、超大型広帯域電波偏波観測計画の実現によって期待が高まってきたFaradayTomography法の紹介と、この方法を利用した宇宙磁場探査戦略とその実現性を議論する。

発表者
浦川 優子

日程/場所
10月30日(木)13:00-@ES606

題名
ハッブルスケールを超える大スケールの揺らぎの観測量に対する影響

概要
インフレーション中に量子揺らぎによって生成された初期揺らぎは、宇宙膨張によって引き延ばされ、ハップルスケールを凌駕する大スケールの揺らぎとなる。このような大スケールの揺らぎは、非線形効果を通じて、ハッブルスケールより小さなスケールの観測可能な揺らぎに影響を及ぼす可能性がある。特に、インフレーション中には大スケールの揺らぎの影響により、摂動論が破綻する可能性が示唆されてきた。本講演では、このような大スケールの揺らぎの影響の計算方法を検証し、観測量に対するインパクトを議論する。

11月のセミナー

発表者
堀口 晃一郎

日程/場所
11月6日(木)13:00-@ES606

題名
宇宙論的位相欠陥による初期磁場生成

概要
現在、銀河間やボイド等の大規模スケールでの磁場の存在が観測から示唆されている。これらの磁場は宇宙初期に作られた種磁場から発展したと考えられているが、この種磁場の起源は未だ謎に包まれている。本研究では宇宙論的位相欠陥の一種であるテクスチャーによって生成される種磁場のスペクトルを求めた。本発表では種磁場のソースとなる揺らぎの発展と磁場への伝搬、得られた磁場のスペクトルの特性について議論する。

発表者
小林 将人

日程/場所
11月6日(木)14:30-@ES606

題名
弱い重力レンズ効果を用いた銀河の星質量直接測定の可能性

概要
弱い重力レンズ効果を、レンズ銀河の近傍で測定することができれば、銀河の全質量に関する情報が得られる。弱い重力レンズ効果は質量の直接的な測定であり、全ての銀河に遍く起こる現象であるので、仮にこの小スケールでの測定が実現すれば、既存のSED fittingやstellar kinematcs, 強い重力レンズ効果の測定などと相補的な役割を果たせる。前回(6月19日)は、これがどの程度小さいスケールであるかを示し、将来の大規模観測にて実現可能であるかどうかを議論した。今回は、前回のCセミナーやその他の研究会でいただいたコメントも含め、将来のspace-based surveysに対する見積りを更新したので、その内容を報告する。

発表者
星野 華子

日程/場所
11月20日(木)13:30-@ES606

題名
Effect of scatter in halo mass - richness relation on the central occupation of the LRGs in clusters

概要
質量 10^15Msun以上の重い銀河団の中心にはほぼ必ずLRGが存在するといくつかの先行研究では考えられている。しかし、本研究でこれらの先行研究とは別の方法で調べたところ、重い銀河団の中で中心にLRGを持つものは90%であるという結果が得られた。先行研究と本研究が示す結果の違いには、銀河団質量とリッチネス(メンバー銀河の数)の関係が一意ではないことが影響していると考え、リッチネスを銀河団質量に変換するときにその補正を取り入れてみたが、先行研究との差はあまり縮まらなかった。本発表ではこの銀河団質量とリッチネスの関係の不確定さが与える影響と他の可能性について議論したいと思う。

発表者
山本 幹人

日程/場所
11月20日(木)15:00-@ES606

題名
赤方偏移空間における銀河相関の色依存性から探る銀河とサブハロー

概要
現在、銀河観測から宇宙の大規模構造の詳細を調べることにより精密な宇宙論解析が可能である。しかし、ダークマター分布と銀河分布の間の不定性が大きな課題であり、ハローと銀河の関係性を明らかにすることが極めて重要である。そのため Subhalo Abundance Matching (SHAM) を用いて、ハローの内部構造であるサブハローの性質と銀河の明るさや色などの関係性が調べられている。本研究では、先行研究 (Masaki et al. 2013) のサブハローの年齢(Age)と局所的な密度分布(Local density)を取り入れたSHAMを拡張し、Mockカタログから赤方偏移変形の色依存性を再現した。前回発表以降、二種類のMockカタログの違いを確かめるために速度分散・Red fraction・Cross correlationなどを比較した。今回の発表ではそれらの結果を報告するとともに、変形の色依存性が生じる原因について再度考察する。

12月のセミナー

発表者
森 友紀

日程/場所
12月18日(木)13:00-@ES606

題名
Horndeski vector-tensor理論の安定性解析

概要
現在の宇宙は加速膨張しているということが、近年の観測から示されている。アインシュタイン重力では加速膨張を説明できなかったが、新たにダークエネルギーを導入することで説明した。一方で、重力理論そのものを書き換えることで加速膨張を説明する修正重力理論も提唱されている。これらの修正重力理論が物理的に可能であるためには、タキオンやゴースト場が存在してはならないので、場の摂動に対して安定性解析を行う必要がある。先行研究では、高次元の重力理論から導かれるHorndeski vector-tensor理論において、ベクトル場のゴースト不安定性等を議論している。この理論の特徴は、ベクトル場と重力が結合しているという点である。この結合があるため、ゴースト場等が存在する不安定なパラメーター領域がある。我々は先行研究の拡張として、reheatingの粒子生成について考慮した。粒子生成を考慮するとBackreactionとして背景時空を変える。そうするとベクトル場の安定性だけでなく重力場の摂動の安定性も考える必要がある。本発表では、これら一連の成果について報告する。

発表者
前田 康太郎

日程/場所
12月18日(木)14:30-@ES606

題名
Observational Constraints on Primordial Broken Power-Law Spectrum

概要
初期スカラー揺らぎの冪がスケールにより変化するインフレーションモデルを考え、初期スカラー揺らぎを表すパラメータの観測的制限をCMBとMatter Power Spectrumのデータを用いて行った。その結果、このモデルと他のモデルを区別する為には、現在の観測されているCMBスケールよりも小さいスケールの情報が必要となることが分かった。Cセミナーではその方法としてCMB distortionについて紹介する。

発表者
大場 淳平

日程/場所
12月25日(木)13:00-@ES606

題名
スカラーテンソル理論におけるスカラー場の時間発展とCMBへの影響

概要
観測から示唆される宇宙の加速膨張を理論的に説明するための方法の一つとして、スカラーテンソル理論等の修正重力理論が盛んに研究されている。中でも今回はBrans-Dicke理論に注目し、そこで導入されるスカラー場の時間発展について紹介する。さらに、その時間発展がCMBに与える影響についても概説する。

1月のセミナー

発表者
柏野 大地

日程/場所
1月8日(木)13:00-@ES606

題名
Galaxy density field and clustering properties of star-forming galaxies at z~1.6 in COSMOS

概要
銀河の性質とその銀河の周囲の環境の間に顕著な関連性があることは古くから知られている。銀河の個性的な性質は氏か育ちか、すなわち形成過程でその大部分が決定されるのか、あるいは成長過程における周囲の環境が重要なのか。あらゆる赤方偏移において、環境の効果を明らかにすることは銀河進化を理解する上で重要かつ本質的な課題である。我々は、すばる望遠鏡FMOSによる星形成銀河サーベイで得られた約1000個の銀河が分光データを主として用いて、赤方偏移z~1.6付近の銀河の数密度場の測定を試みている。また、銀河のクラスタリング解析は、銀河分布の統計的な性質を教えてくれる。2点相関関数を計算したところ、<~10hinvMpcに顕著なクラスタリングシグナルを検出した。また、視線に平行と垂直な方向で、Finger-of-god効果を示すと考えられるクラスタリングシグナルのずれを検出した。本セミナーでは、環境効果についての研究を簡単にレビューし、解析手法および初期成果について報告する。

発表者
長谷川 賢二

日程/場所
1月15日(木)13:00-@ES606

題名
これまでの再電離研究とSKAへの期待

概要
宇宙は一度中性化し、その後再び電離されたことが知られており、これを宇宙再電離と呼ぶが、この再電離過程は未解明な点が多い。今回のトークは、2部構成とし、第1部となる今回は、大局的な宇宙再電離史、空間的に非一様な電離状態の発展の仕方、電離光子源の候補等についての理論・観測的先行研究を紹介し、再電離について明らかになった点、未解明な点を具体的に示す。また、今後予定されるSKAによる中性水素21cm線の観測で期待される成果についても触れる。第2部(1月29日予定)では、宇宙再電離過程を明らかにすべく自ら行った輻射流体シミュレーション結果や21cm線観測との比較を行う為の今後の研究展望を示す予定である。

発表者
松原 隆彦

日程/場所
1月22日(木)13:00-@ES606

題名
非局所バイアス

概要
宇宙の密度ゆらぎを観測可能な天体を用いて測定する場合、どのような天体を用 いるにしてもバイアスの効果が避けられない。大スケールの極限では線形バイアスが成り立つが、実際に観測する一般のスケールにおいてバイアスの関係はそれほど単純ではない。線形バイアスやそれを拡張した単純な非線形バイアスのモデルは、バイアスの関係が局所的に決まるものという前提に立っているが、最近の研究により、局所的なバイアスは理論的な整合性やシミュレーションの再現などに問題を抱えていることが分かってきた。最近では、非局所バイアスのモデルに関する研究がいろいろな観点から行われているが、最近の筆者の研究によれば、それら個々の非局所バイアス・モデルからの帰結を統一的な観点から一 挙に取り扱える定式化が存在する。この周辺の研究の途中経過や方向性についてお話しする。

発表者
長谷川 賢二

日程/場所
1月29日(木)13:00-@ES606

題名
輻射流体シミュレーションで探る宇宙初期の銀河形成史と宇宙再電離

概要
前回のレビューにおいて、再電離史を理解する為には、i)銀河間空間物質の非一様性、ii)電離光子源の個数密度、iii)電離光子源あたりの電離光子放射率を知ることが重要である事、これらの量には輻射のフィードバックが影響する事を紹介した。第二部となる自身の研究紹介では、電離光子源となる銀河の形成史とそれに伴う再電離史を同時に計算した輻射流体シミュレーション結果を示す。セミナーでは、計算で得られた銀河の星形成率、電離光子脱出率、UV光度関数等の特徴を紹介し、上記のi), ii), iii)がどのような関係になって再電離が実現されるか、また、どのような銀河が電離光子源として支配的になっているかを示した後、今後の展望についても少し触れる予定である。

2月のセミナー

発表者
日影 千秋

日程/場所
2月5日(木)13:00-@ES606

題名
Fingers-of-God effect of infalling galaxies

概要
銀河赤方偏移サーベイによって、重力理論の検証やニュートリノ質量測定など、さまざまな宇宙論解析が行われている。精密な宇宙論解析を行う上で問題となるのは、非線形な赤方偏移変形効果「Fingers-of-God」の取り扱いである。今回、ハローモデルの描像に基づいて、銀河パワースペクトルの精密な理論モデルの構築を行った。N体シミュレーションを通じて、ハロー内部のサブハローの運動と、それに伴うFingers-of-Godの性質を詳しく調べた。従来、Fingers-of-Godは、ハロー内の銀河のランダム運動によって生じ、銀河の視線速度分布はガウス型で表するのが一般的である。しかし、質量の重いサブハローでは、ランダム運動よりもハロー中心への落下運動が卓越し、視線速度分布がトップハット型になることが分かった。視線速度分布の違いが、銀河パワースペクトルに与える影響について紹介する。

発表者
大山 祥彦 (KEK)

日程/場所
2月18日(水)15:30-@ES606

題名
Constraints on the neutrino parameters by future cosmological 21cm line and precise CMB polarization observations

概要
ニュートリノ振動の観測によりニュートリノは質量を持つ素粒子であるということが確認されている。しかし振動実験では質量の大きさ自体は測定できず,3世代あるニュートリノ質量の2乗差しか決定できない.一方、CMBの観測などを利用することで,ニュートリノが密度揺らぎの成長に与える影響を測定すれば,質量2乗差だけでなくニュートリノ質量の和に対しても制限を与えることができる。 また、このような宇宙論的な観測から宇宙論パラメータに制限を与える方法として,近年新たに注目されているのが,21cm線と呼ばれる中性水素起源の電波の観測である.この21cm線の観測を用いれば,宇宙の暗黒時代やその後に続く中性水素が電離していく時期(宇宙再電離期)のような,赤方偏移が大きな時代を観測することが可能である. 我々は将来の地上ベースのCMB高精度偏光観測(POLARBEAR-2,Simons Array)とSKA(Square Kilometere Array)のような,将来の21cm線観測の組み合わせにより,ニュートリノ質量やその質量階層構造がどの程度まで精度よく制限可能か解析を行った。 本セミナーでは,21cm線観測の概要,及び我々が行った以上の解析の結果について議論を行う。また時間が許せば,宇宙のレプトン数非対称性の決定に対し、21cm線観測による密度ゆらぎの測定が,どの程度有効か解析した結果についても触れたいと思う.

3月のセミナー

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