TA-Lab Colloquium

(Last update on 15 October 2026)

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Date/Room 22 October at 14:00 in ES606
Speaker Kosei Nozaki (TA-Lab., Nagoya Univ.)
Title 回転ブラックホール時空における相対論的流体現象の数値計算法開発
Abstract 重力波天文学やブラックホール撮像観測の発展に伴い,高密度天体周辺における極限的な流体の運動が注目されている。特にブラックホール周辺の降着円盤形成や潮汐破壊現象を通じたブラックホールへの質量降着は,銀河進化と密接に関係していると考えられている。しかし,曲がった時空中での流体運動を解析的に扱うことは困難であり,その物理描像を正しく得るためには高精度な数値シミュレーションが必要となる。そこで我々は,粒子法であるSmoothed Particle Hydrodynamics(SPH)法を基盤とし,ブラックホール重力場の近似モデルと特殊相対論的流体力学を組み合わせた相対論的流体計算法の開発を進めている。粒子法は,潮汐破壊など,流体の大変形や広い低密度領域を伴う現象を扱うのに有利であり,強重力場への適用によって広範な応用が期待される。 これまでに,時空の引きずり効果を外力として取り入れた傾斜降着円盤の3次元SPHシミュレーションを行い,半径方向に連続した歪みが形成されることを確認し,先行研究の円盤構造を定性的に再現した。 現在は,この円盤計算の相対論的な拡張に向けて,回転するブラックホールの重力場を近似的に記述するHamiltonianの構成と検証を進めている。構成したHamiltonianについて,最内安定円軌道(ISCO)における軌道周波数,および重力散乱における散乱角をKerr時空の厳密解と比較した。重力散乱では,入射速度0.3cおよび0.9cの両条件において,従来のポスト・ニュートン近似モデルよりも厳密解に近い散乱角が得られた。また,この定式化から光子の運動方程式を導出し,光線追跡にも適用可能であることを示した。 本発表では,傾斜降着円盤シミュレーションの結果と,近似重力Hamiltonianの軌道周波数・重力散乱による検証結果を報告するとともに,レイトレーシングによる描画例を示す。また,特殊相対論的流体方程式への拡張とGodunov SPH法への実装に向けた今後の展望について議論する。