TA-Lab Colloquium

(Last update on 2 July 2026)

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Date/Room 9 July at 14:00 in ES606
Speaker Yuki Tamaki (TA-Lab., Nagoya Univ.)
Title シンクロトロン冷却不安定性による銀河系中心非熱的フィラメントの分裂過程の理論的研究
Abstract 近年, MeerKATによる高解像度観測により, 銀河系中心領域に多数の非熱的フィラメント(non-thermal filaments; NTFs)が存在することが明らかになっている(Heywood et al. 2022)。NTFsは銀河面に対してほぼ垂直に分布していることから, 銀河面に垂直な磁場の存在を示唆しており, 銀河系中心領域の磁場構造や高エネルギー現象を理解する上で重要な構造である。しかし, NTFsの起源および形成過程については十分に理解されていない。 これらのNTFsの中には, 複数の細い直線状構造が束状に集まった「非熱的フィラメント群」も数多く観測されている。この形成機構として, 単一のフィラメントがシンクロトロン放射に起因する熱的不安定性(Simon & Axford 1967)によって, 複数のフィラメントへ分裂するシナリオが提案されている(Yusef-Zadeh et al. 2022)。 しかし, Simon & Axford (1967)をNTFに適用する上では二つの問題が存在する。第一に, NTFsではシンクロトロン放射によるエネルギー損失が支配的であるため, 非熱平衡状態における安定性解析が重要であるが, Simon & Axford (1967) では, 背景が冷却状態にあり時間依存する場合の解析を十分に行わないまま, 系が常に熱的に安定であると結論づけている。第二に, Simon & Axford (1967)ではMHD近似が用いられているが, NTFsを構成する相対論的プラズマは一般に無衝突であるため, 圧力異方性や粒子的効果が支配的となり, MHD近似が妥当でない可能性がある。 そこで本研究では, 非熱平衡状態にある相対論的電子系におけるシンクロトロン冷却不安定性の適用可能性を検証するため, 冷却を考慮した安定性解析を行うとともに, 相対論的電子がつくる反磁性磁場について数値計算および理論的見積もりを行った。本講演では, これらの結果をもとに, NTFsにおけるフィラメント分裂機構としてのシンクロトロン冷却不安定性の妥当性について議論する。