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ALMA望遠鏡が若い星 HL Tau の周りの原始惑星系円盤に多数の縞模様(Ring)を発見した(2014年11月).

その特徴はその約1ヶ月前に発刊された米国天体物理学会誌(ApJ)上で 高橋・犬塚(2014)が予言していたものに的中していた! 高橋・犬塚の理論では,このリング構造の存在は, 大量の塵粒子(ダスト)の濃集が始まっていることに対応している. つまり,我々は新しい惑星形成シナリオを目撃していることになる.



リング形成理論の解説:

高橋&犬塚(以下TI14と略す)ではガスとダストの両方の運動を同時に考慮した 原始惑星系円盤の線形安定性解析を行った. ガスとダストの摩擦により,重力的に安定な円盤でも半径100AU程度で 一万年から十万年程度かけて成長する 不安定モードが現れる. もし,ダストからガスへの摩擦の寄与(back reaction)を無視すると, これまでに微惑星形成法として提案されていた 永年重力不安定性(Secular Gravitational Instability) の解析(W. Ward 2000; A. Youdin 2011; Michikoshi, Kokubo, & Inutsuka 2012 )と一致する不安定性である. ダストのガスに対する寄与を無視しガスの運動をケプラー回転で与える永年重力不安定とは異なり, TI14ではダストがガスに与える摩擦も考慮して解析を行うことで長波長の摂動が安定化することを発見した. リングが観測されている半径100AUでは,この不安定モードは約20AUが最大成長波長となる. これはHL Tauで観測されたリングの幅と同程度である. 従って,この不安定性は観測されているリング構造形成メカニズムの有力な候補である. また,この不安定性の成長によりダストが濃縮されるため, 微惑星や岩石惑星の形成でもこの不安定性が重要になる可能性がある. この不安定で形成された微惑星や岩石惑星が円盤のガスの散逸後も円盤に存在すると, デブリ円盤 の起源となり得る.

日本天文学会2014年春季年会の予稿はこちら PDF or HTML

欧文論文へのリンク:
"Two-component Secular Gravitational Instability in a Protoplanetary Disk: A Possible Mechanism for Creating Ring-like Structures"
Sanemichi Z. Takahashi & Shu-ichiro Inutsuka (2014)
The Astrophysical Journal Vol. 794, 55 (arXiv:1312.6870)

この論文の§4.3に縞模様の間隔や推定されるパラメータについての記述があります.


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